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2016/08/29 14:13

こんにちは、きじばとや店主イイダです。


少し前の話になってしまいますが、オリンピック閉会式での小池都知事の着物姿が話題になりましたね。
着こなしについては色々と思うところのあった方も多いようですが(私にもいくつか気になる点はありましたが)、でもなにより、あの雨の中、慣れない土地で、はじめての大舞台に着物で立つ、という勇気に拍手を送りたいと思いました。

着物をお召しになる皆様も、「着物は着られるんだけど、なかなか着物でお出かけするのはハードルが高い・・・」と感じる方は多いのではないでしょうか?
ストンと着てしまえば良い洋服と違って、着物は何枚もの布を体に巻き、紐で締め、重ね・・・という作業がありますので、着物それぞれの生地の材質やくせなどで、スルスル滑ったり衿元が決まらなかったり・・・そうこうするうちに時間がっ!!どうしよう!!
という経験は、誰しもあると思います。

小池知事は、着付けのできる方を帯同なさったということでしたが、着付けの仕上がりを見る限りでは、あまり慣れた方ではなかったようですので(あるいはサイズの合わないお着物だったのかもしれません)、閉会式までの控室だかホテルだかの一室で、着付け師さんと小池さんと、やきもきしながら不安にかられながら、着付けされたのかもしれません。
そういうことを考えると、あの雨の中、よくお着物で立たれたな、と思うのです。(そもそも、あんな高そうな着物、濡らしたくない!!)

ちなみに私の場合ですが、やはり私にとっても、着物でお出かけするのはハードルが高いことに変わりはありません。
けれど、着られない着物ほどかわいそうなものはないわけで、そして、慣れるためには着るしかないわけなので(笑)、あれこれと口実を作っては着物でお出かけするようにしています。
うまく着られるときもあれば、「きれいに着られた!」と思っていても、後から写真などを見ると「あれ、帯の位置が思ったよりも高かったかな・・・」とか、「裾が今一つ決まってない」とか、今ひとつの着姿だったりすることもあります。

でも、いいんです!!(いいのか?)
まずは着ること!着て、外に出ること。
それが一番の上達への近道だと思うのです。
着るだけでなく、動くこと。動くだけでなく、食べたり飲んだり笑ったりすること。
そうすることで、着物は体になじんでくると思うのです。

私が、他の方の着姿を見ていつも感じるのは、『着姿が美しい人は、着ている人がリラックスしている』ということです。
「今日、私、着物を着たの!きれいに着れてるかしら。誰かにダメ出しされるかしら。どこかおかしくないかしら」とビクビクしていると、やはり着姿も美しくならないものです。
それよりも、胸元ゆったり、衿元ゆったり帯もゆるゆる・・・な、おばあちゃんの着姿の、なんと恰好いいことか!!
話しかけてみると、「私はね、暑がりだから。衿もこのくらいなのよ、いつも。それにね、年じゅう単衣なのよ、ハハハ」なんて言って、裾をちらりとめくって見せてくださることもあります。
ビクビクしていては、着物だろうが洋服だろうが、美しくはなりませんよね。

着姿の美しさは、衿が左右均等であるとか、おくみ線が揃っているとか、脇線がどうたらとか、裾線が適切であるとか、衣紋がこぶしひとつ分であるとか、そういうことではなく。
その人の体になじんでいるかどうか、ではないかな、と思うのです。
衿が均等であるとかおくみ線がどうの、というのは、わかりやすい基準であり、『美しく見えるための基準』にすぎないのではないでしょうか。

今シーズンはもっと、着付けが上手になりたいな・・・と思ってらっしゃるあなたへ。
もっと気楽に、気持ちよく、楽しく、着物を着てでかけましょう!
それが一番の、着付けが上手になる近道です!