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2017/06/02 14:04

こんにちは、きじばとや店主イイダです。

さて、前回に引き続き、今回は小物の迷宮シリーズで、帯揚げ編です。
帯揚げ・・・実は、帯締めより難しい気がします。

質問される中で一番多い内容なのですが、
「帯揚げと帯締めって、同じ色にするんですよね?そうしておけば無難なんでしょうか?」
なるほどなるほど。わかります、その質問、そのお気持ち、わかります。
では、いきなり答えを言いますと。
もちろん、正解なんてありません(笑)
が、個人的見解を述べますと・・・ちょっと言いにくいのですが・・・・かなり言いにくいのですが・・・・、
「おそろいの帯揚げと帯締めはダサイ」と思います。(言っちゃった!)
あれ、良くないやり方だと思うのですが、呉服屋さんだとかデパートとかの呉服コーナーとかに行くと、帯揚げと帯締めをセットで売ってますよね。あれの影響だと思うのですが、「セットにするものだ」と思い込んでらっしゃる方も見かけます。
使える色ならまだいいのですが、たまにピカピカ黄緑の帯揚げ帯締めセットとかもあったりして、「これはいつ、どんなときに使うんだ!?」みたいなものを、堂々とセットにしちゃって、「これくらいの鮮やかな色でないと着物に負けます」とか言って、おすすめされちゃう色。あれ、おそらくもう二度と使われないですよね。バラバラにしたって、ピカピカ黄緑とか使いにくいです><

私がコーディネート相談でいつもおすすめするのは、まずは帯揚げはとにかく着物か帯に馴染む色、とけこむ色がいいです。
差し色を使いたい気持ちはわかりますが、帯揚げと帯締めが2本、着物と帯と全く違う色で真横に横切ると、すごく目立つんです。
うまくいけばいいですが、大抵の場合、ダサくなったり、背が低く見えたり、初心者ぽくなったりしがちなのです。
なので、まずは帯揚げには自己主張を一旦忘れていただいて、『着物と帯をつなぐ』ことに専念してもらうのが一番良いです。
もちろん、「大丈夫、わたし、わかってるから!」となったら、好きなように心のままに選ばれると良いですが、今回は迷宮のお話ですので、共に迷宮を楽しむ子羊な皆様に向けて、書いていくことにします。

『着物と帯をつなぐ』色ですが、着物と帯の間くらいの色でも良いですし、あるいはどちらかの色にとけこむと良いです。
私がおすすめするのは、「何色かひとことで表せない色」です。特にイチオシなのが、ババシャツ色です。
いきなり『ババシャツ色』とか言われて、「えっ!?」と思われるかと思いますが、ババシャツ色、素晴らしい万能選手です。

ここでイイダがババシャツについてちょっとアツく語りますが。(突然)
ババシャツにも、3タイプあると思うんですよ。

1.ピンク系:グレーとベージュがほんの少しずつ入ったような、くすんだピンク
2.ベージュ系:少し赤みがかった、肌色より少し深いベージュ
3.パープル系:グレーと紫とベージュが混じったような、いわゆるグレージュ

1番と2番は馴染み深い色だと思いますが、3番のグレージュは、ちょっとオサレなランジェリー感のあるババシャツとかに見られる色ですね。大体わかっていただけたでしょうか。
この3色、本当に帯揚げとして万能なのです。
すごいです。なのに「アタシ、デキるのよ!すごいでしょ!他の誰とも違うでしょ!」という主張もしないのです。
なんと奥ゆかしい、でも控えめでありながら仕事はきっちりする、これぞ本当のデキルやつ、だと思うのです。
会社で例えると、勤続20年超、総務畑ひとすじ、会社のことはスティックのりの置き場所から社長の好きな緑茶の銘柄からボーナスの額まで知り尽くしているのに口が堅くて仕事中は無駄話はしない、でも気が付くと3時のお茶を誰よりも早く美味しく入れてくれて、スナックのママからの「また来てね」ハガキはそっと郵便物の下の方に重ねて配ってくれるような、そんなデキルおねえさま。
そんな感じなのです。(この例え必要だろうか)

ということで、この3色は、持っておくと重宝します。

他には、ブルーグレー(くすんだ色のもの)、孔雀色(ブルーよりとグリーンよりの2パターンあると吉)、あとは黒地に細かい柄が入ったものなどがかなり使えます。
あくまでもわかりやすいための例ですが、きじばとやの棚にあるもので言うと・・・

すでに売り切れてしまっていますが、ときがら茶のはぎれとか、豆がら茶のはぎれなどは、上記のババシャツ色やブルーグレーで、かなり使いやすい色でした。
モカ色に唐花模様のはぎれや、蘇芳色の帯揚げ、白地に楓の絞りの帯揚げも、いろんな色が入っているので合わせやすいです。
白の楓の絞りのはぎれなどは、白の帯には最適です。

そしてこちらも売り切れてしまいましたが、抹茶色と茶色の絞り風のはぎれ。
これが最高にすごいです。万能な上に、すごい力を持っていて、これを帯まわりに加えるだけで、「おっ!」という仕上がりになるのです。
こういう、ちょっと一言では言えない柄、模様、色が混じっているのが最高にいいです。
会社でいうと、勤続10年前後、ぱっと見は目立たないんだけど、よくよく見るとなんかお洒落で、持ってるものがいちいち気が利いていて、でもどこのブランドなのか分からない。絶対にブランドのマークが入ってるものとかは身に着けない。
「アタシアタシ」って感じでもないんだけど、コンサバ系とも違う。
他の先輩たちとも群れないし、いつも一人でランチとか行っちゃって、昨日はビジネスホテルのレストランでハンバーグランチ食べてたかと思えば、今日はオヤジに混じって定食屋のカウンターで塩鯖定食を食べてるのを見かけたりもする。こっそり真似してお店に行ってみると、メチャ美味しい。なんでこんなお店知ってるの!?
いいのか悪いのかよくわからないんだけど、でも悪い感じでもないし、地味なようで地味でもない。しかも実はすんごく仕事ができるらしい。
あの先輩、ちょっとよくわかんないんだけど気になっちゃう・・・そんな感じでしょうか。(ますますよく分からない)


話を戻しますが、ちなみにイイダは、ババシャツ色はピンク系でも数枚、ベージュ系でも数枚持っています。(グレージュはなかなかない色なので集め中です)
別々に見ると「同じ色でしょ?」と思うのですが、ピンクの配分やオレンジの配分、明度や彩度などなど、並べるとちょっとずつ違うのです。そしてさらに、着物や帯の上に載せると、それぞれ全く別の結果になるのです。これは先日のコーディネート相談でも、「えっ!本当だ、全然ちがいますね!」と驚かれました。
「これとは似た色を持ってるから、いいや」というのも、よく聞く言葉ですが、それ!!全然違う結果になりますよ!
『似た色』イコール『同じ色』ではないんです。『似た色』は、『違う色』なんです。そして、コーデに対する影響は、さらに大きくなります。

宣伝ではないのですが、あくまでもわかりやすい例としてですが・・・現在きじばとやの棚にあるはぎれや帯揚げたちの中で、重宝するメンバーは下記のメンバーたちです。



もちろん、上記にないものは『使いにくい』わけではなく、『ある組み合わせのときにすごくいい』メンバーたちです。
万能選手もいいけれど、それだけじゃつまらない。「私だけが使いこなせる選手」もいいですよね。
重宝するだけが魅力じゃない。日頃はヘラヘラしてるようで、ここぞというときにすごい契約とってくる営業社員みたいな存在も必要だと思うんですよ。

なんでこういう例えになっちゃったのか自分でもわかりませんが(笑)、会社も帯揚げも地球上の生物も、多様性だと思うのです!(話が無駄に大きくなってきた)
私は最近、そういう選手を見つけるのが楽しみで、仕入れの際には無心になってはぎれコーナーに向かっています。

それから、「帯揚げと帯締めのセットはダサイ」と言っちゃいましたが、同じ色にするのが悪い、というわけではないです。
同じ色にする場合は、明度や彩度をすこしずらしたものにすると、ぐっとこなれますよ。

それからそれから、くれぐれも、帯揚げを出しすぎないようにすることをオススメします。特に、結び目のあたり。
きじばとやに来てくださる方々の年齢層は、大体みなさん素敵な大人の女性ですので、もっこりふっくら出しすぎると、ちょっとダサくなりますのでお気をつけあそばしませ。あれは、子供の女の子の結び方です。
大人なわたくしたちは、帯揚げはすっきりと、でもチラリと見えるその帯揚げに、
「おねえさまったら流石!!」と言わしめるのが素敵だと思うのです。

着物と帯をつなぐ色、だけど、地味なだけじゃつまらない。無難なだけじゃおしゃれじゃない。
でも主張しすぎるとダサくなる。そこのキワを、どう歩くか。そこが帯揚げの楽しみだと思うのです。
街を歩く素敵な着物姿の女性を見つけたら、そっと後をつけて帯揚げをチェックしてみてください。
帯揚げは、ぱっと見では主張せず、よくよく見たときに「なるほどー!」というものをおつけになっていらっしゃいます。

そんなこんなで、なんだか迷宮をさらに迷走しちゃった感もありましたが、今回は帯揚げのお話でございました。
着物談義、楽しいですね(笑)