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2018/02/26 10:22
こんにちは、きじばとや店主イイダです。
突然ですが、着物とは全く関係のない、きじばとやの店名の由来のお話です。
お店には必ず必要となる屋号ですが、もともとそのような夢とかがなかった私には、「いつかお店を持つときには、屋号はこれにしたい!」というものがありませんでした。
いくつか候補はあったのですが、なんだかどれもしっくりときません。
私の思う、もっと着物を気軽に、楽に、楽しく、気負わず。着物の世界に、誰もが入りやすい入口でありたい・・・そのような思いを表せる屋号にしたい、そんな気持ちにしっくりくる屋号はないものか。
屋号だけで何日も悩みました(笑)
自宅のリビングの、窓際に置いた事務机で、考えに詰まった私は、ぼーっと庭を眺めながらお茶を飲んでいたのですが・・・そのとき、1羽のキジバトが、パタパタと舞い降りてきて、陽のさす水場に、のんびりととまったのです。
キジバトというのはおもしろい鳥で、ドバト(神社なんかによくいる、グレーに緑のポイントが入った鳩)とは違い、群れません。
大体、つがいのもう1羽と、いつもペアで仲良くのんびり行動しています。
ドバトと違い、人になつきません。野鳥なので警戒心が強く、そのくせ、人のいるところですごします。
そして、地味な色合いのくせに、よくよく見るとなんとも味わい深い色みで、体は深みのあるグレー、お腹はやわらかなミルクティー色。そして、翼には明るいモカ色の羽根模様が入っており、それが青海波模様によく似ているのです。
体は地味な色合いなのに、首元には鮮やかなコバルトブルーのストライプ模様が入っていたりして、実はなんともお洒落なのです。
気取らず、でも、お洒落で。
主張してないけれど、自分のスタイルがちゃんとあって。
それを気負わず、気持ちよさげに目をとじて日向ぼっこをしているキジバトを見て、「きじばとや」という屋号が降りてきました。
A4ノートいっぱいに書き連ねた屋号の候補たちは、一瞬にしてなくなりました。
着物とはなんの関係もない屋号のようですが、私の思うスタイルを表している、「きじばとや」なのです。
きじばとやの屋号の由来を、いつか書こうと思っていたのですが、イイダは小心者で、「すぐにつぶれてしまうかもしれないお店のことを語るなんて、はずかしい」とずっと思っておりまして(笑)
ただ、きじばとやも皆様のおかげで2周年を迎えることができ、新事務所兼実店舗を開いて、オープン2か月をなんとか無事にすごせた今、なんとなく書いてみました。
本当は、3周年くらいのときに書こうと思っていたのですが、なんとなく、今書かないと二度と書かないような気がして・・・。
平成キモノブームと呼ばれた時期は少し落ち着き、着物という文化は、現代の中で、特に若い方たちに、少し根付いたように感じます。
着物が文化、ファッションであるためには、多様性がなくてはならないと思います。そして、若い方たちに着てもらわないと、文化としては先細りです。
着物好きの中には、アンティーク系、ギンギンギラギラ系、ドッキリ系、いわゆる正統派系・・・色々ありますが、どれも否定せず、それぞれが「あ、そういうのが好みなんだね!」「それってかわいいね」「それってどうやってるの」と、互いに刺激しあい、楽しみあっていけるようでなくては、着物文化は廃れていく一方だと思います。
そんな波の中で、きじばとやは、アンティークも着てみたり、正統派も着てみたり、ときどき勇気を出してドッキリコーデにチャレンジしてみたり・・・そして、私はこんな感じかな!というような、自分の居心地の良いスタイルを見つけられるお店でありたいと思っています。
固定概念にかたまらず。でも、力を入れて打破するでもなく。否定せず。
けれど、守るべきものは守り。
自分の楽しみのために、誰かを幸せにするために、着るきもの。
それが、きじばとやの目指す、スタイルです。
人生が豊かにならなければ、意味はない。誰かを不快にするようでは、意味はない。
誰かを否定するのは、たのしくない。
たのしい日々のための、お手伝いをできる、きじばとやでありたいと思っています。
我が家にくる、キジバトくんです
ちなみに、キジバトですが。
年中、つがいで仲良く行動しているくせに、実はあれらは必ずしも同じ相手ではないのです!!
鳩はピジョンミルクというミルクを出すことができるため、季節を限らず、繁殖ができます。
そのため、年に何度かつがいをつくるのですが、その相手は都度違うとか!!
あんなに仲睦まじい姿を見せておいて、実は相手が違っていたなんて・・・!!
どうせそっくりだから分からないと思って!! 実は結構、自由!!!
それを知った時、かなりショックでしたが。そんなキジバトの自由さも、実は好きです(笑)
気楽に、楽に、気負わず、自由に(笑)!!
そんなきじばとやを、今後ともよろしくお願いいたします。