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2020/04/24 13:55

きじばとや店主イイダです。


新型コロナの影響で、お出かけできない日々が続いていますね。きじばとやにも、「せっかく買った着物が着られなくて残念です・・・」というメールをいくつもいただいています。
気候も安定してきて、春単衣にはぴったりの季節なのに、本当に残念です><
ですが、ここはひとつ「次につながる時間のすごしかた」として、よくご質問いただくことや、きじばとやからのお休みの日のすごしかたのご提案などについて書いてみようかなと思います。
また気持ちよくお出かけできる日を目指して、今この時期にこそ、コーデの見直しや小物の買い足し、着姿のブラッシュアップ、小さなギモンを解決しておく・・・などなど、できることはたくさんあります^^ 
必ず来る、楽しいお出かけのその日まで、なるべく楽しいことを考えていきましょう!

ではでは、今回はよくご質問いただく『春単衣、秋単衣』について書いてみたいと思います。
 
春単衣、秋単衣とはそのまま「春に着る単衣」「秋に着る単衣」のことなのですが、その違いは帯と小物の合わせ方にあります。
和装は「季節を先取りすることが粋」であるとされているのは皆さんご存じかと思います。
花の柄などが着物に入っている場合は、その花の時期よりも少し早めの時期に着るのが粋ですね。ですが、それ以外にも、帯や小物の合わせ方にも、先取りという考え方があります。
帯や小物は、「季節をひとつ先取りできる」というものです。
つまり、同じ単衣でも、合わせる帯や小物で季節感を出すことができるのです。
単衣って、春と秋の2つの季節に着られるものですが、この2つの時期は、季節の移り変わりをはっきりと感じる時期ですよね。なので、帯や小物で大きく違いを出すことで、暑い時期を乗り切ったり、近づく秋を意識したりなどができるわけです。


【春単衣】(4~6月)

帯:単衣の帯だけでなく、夏の帯(絽や紗)を合わせることができます。
ひとつ先の夏物を合わせることによって、季節感を出すことができますし、日差しが強くなって暑いけれど、時期的にまだまだ夏の着物は着られない・・・というときでも、涼しい夏帯や小物で、暑さをしのげるという良さもあります。

帯揚げ、帯締め:夏のものを合わせられます。
帯を夏帯にした場合は、小物も夏物にした方が涼しげです。夏帯を合わせたときは、小物も夏物で。

ただし、先取りといってもやりすぎも野暮になってしまいますので、夏帯を合わせるのは5月中旬~末くらいからが良いかなと思います。小物はもう少し早くてもいいような気がします。「今日は夏みたいに暑い!」という日などは、単衣帯に夏の小物で涼しげな印象をつくるのも良いですよね。
ちなみに、単衣の時期に羅は早すぎますので合わせません。羅ばかりは盛夏のみです。羅って贅沢なおしゃれですよね。


↓こちらが、単衣に夏物の帯と小物を合わせたコーデです。

江戸小紋の単衣に、絽のなごや、絽の帯揚げ、夏の帯締めです。
江戸小紋の錆青磁が涼しげに映るよう、帯にはあえて黒の夏帯です。小物の色は控えて、江戸小紋を主役にしました。



 
【秋単衣】(9~10月)

帯:単衣の帯だけでなく、袷に合わせるような普通の帯も合わせられます。
袷用の帯を締めることによって、季節感を出します。色も深い色のものを選び、同じ単衣でも季節感が出ます。

帯揚げ、帯締め:袷に合わせる小物を合わせます。
まだまだ暑い日もある9月は、あまり暑苦しくなりすぎない色合わせにしたいところです。帯と小物の組み合わせで調整を。

↓こちらが、単衣に通常の帯と小物を合わせたコーデです。
鈍紫の江戸小紋に、深い墨色のなごや。ちりめんの帯揚げに、ゆるぎの帯締めです。
暑苦しくならないように。けれど近づいてくる秋を感じさせるような、深みのある帯で。小物はくどくならないように、色は抑えめにしています。


いかがでしょうか?
どちらも淡い色みの着物に深い色の帯なのですが、夏の絽の黒帯と合わせるのと、深い墨色のなごやを合わせるのとでは違いますよね。夏帯だとやはりすっきりとした印象になりますし、袷用の帯なら温かみが出ます。



春単衣は4~6月と書きましたが、最近は3月でも十分暖かい日もあり、正直袷だと汗ばむ日もあります。
着物の「こうあるべき」という考え方は、今とは全く気候の違う時期に定められたもので、頑なにそれを守ろうとするのは正直無理があると私は思っています。アスファルトの照り返し、上昇した気温、風の通らない道・・・。それらを考慮せず、「それが着物ってものなんです!」というのは、ちょっと乱暴かなと思うのです。
着物は、着るもの。着る人の体に負担を強いるようでは、楽しくありません。

なので、冠婚葬祭、改まった席、目上の方との会食などなど、礼儀を大切にしなくてはならない場合を除いての個人的なお出かけであれば、そこはもっと柔軟に考えて良いと思っています。なによりも、「今はまだ4月だから!!」と、汗ダラダラで袷を着ているのは、見ている方も辛いものです。「私は平気よ~」というのであれば何の問題もありませんが、夏のように暑いのに、体に無理をしてでも決まりごとを守るものでもないかな~と私は思っています。
ちなみにわたくしイイダは、3月くらいでも日差しがあって汗ばむような日は、単衣でおでかけしています。さすがにちょっと早いかな・・・と思うときは、色みの温かな紬やちりめんなど、見た目が寒々しくならないものを選び、ストールや小物などで温かみを出すようにしています。

逆に秋単衣ですが、残念ですがこちらはできれば歳時記どおりにしたいところです。
お盆をすぎたら夏物は着ない・・・とまではちょっと厳しいので、夏物は8月いっぱいまで。
そして、どんなに暑くても、9月に入ったら単衣に移行します。やはり、いくら暑くても、9月になっても絽や紗を着ているのはさすがに野暮です。その代わり、涼しげで風をよく通し、ものによっては自宅でもお手入れできる紬の単衣などでしのぎたいところです。木綿の単衣、白地でない浴衣ならば襦袢と合わせて木綿着物として着るという方法もありますね。塩沢の単衣などはシャリ感があってよく風を通してくれますので、秋単衣にはぴったりです^^ イイダは9月は木綿か、塩沢の単衣ばかり着ています。
 

ちなみに半衿や襦袢も、ひとつ先取りです。春単衣の時期の半衿は塩瀬でも構いませんが、帯や小物に夏物を取り入れるようになったら、夏の半衿が良いです。ちらりと見える襦袢も、単衣仕立てか、夏もので。
秋単衣の時期も、9月になったらいさぎよく塩瀬の半衿に戻します。これが絽の半衿だとどんなにおしゃれをしても台無しですので、目立たなくても要注意です!
襦袢は見えないので、単衣仕立てでも大丈夫(笑)袖も無双でなくとも大丈夫です^^


以上、春単衣と秋単衣のコーデについてでした!
本当は同じ単衣の着物で、春と秋のコーデにしたかったのですが、時間の関係で撮影できませんでした。スミマセン!!
分かりにくいところ、ご不明な点などはお気軽にお問い合わせくださいませ♪

今年の春単衣はちょっと厳しいかもしれませんが、秋単衣はいけるはず・・・!と信じて、秋単衣を楽しみに、今からコーデを考えてみるのもいいすごしかたかもしれません。(ちょっと気がはやすぎますかね)