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2020/11/23 13:03

きじばとや店主イイダです。

前回のブログ「染めの着物に織りの帯」の中で、「着物を洋服に置き換えて考えてみるのもひとつの方法」「着物と帯の雰囲気の格を合わせてみるのも手」ということを書きました。
その続きです。
 
質感、格を合わせる。これはコーディネートを考える上での基本的なところではあるのですが。
着物はファッションであり、ファッションである以上は文化ですので、本来これらは変わってゆくものだと思います。なので、あくまでも「現時点での、迷った時の指針のひとつ」と考えていただければと思っています。
今回はこの、「着物は文化」について、常々思っていることについて書いてみたいと思います。


たとえば洋服でいうとジーンズですが。
ジーンズはもともと作業着だったと言われていますが、丈夫で使いやすいことから日常着になりました。さらにさらに、たくさんの人が日常的に着ることにより、作業服からファッションの一部として定着したため、現代では『ジーンズにTシャツを着て、その上からシャネルのジャケットを羽織る』みたいなコーデすらアリになっちゃったのです。『ジーンズにパンプス』なんていうのについては、もはや特別なことですらないですよね。
これって本当にすごいことで、これがファッションであり、これこそが文化ってことなんだろうなあ、と私は思います。
当初は作業着だったジーンズに、シャネルのジャケットですよ!!しかもこれを、若い女の子が「んー、ママのジャケット借りてきた」と、サラッとやるのがかっこいい。本来は、10代の女の子がシャネルのジャケットとかあり得ないはずです。が、ファッションであるからこそ、「ママのジャケット」だからこそ、これがオシャレで面白みのあるコーディネートになるのだと思います。ママのジャケットはサイズが合わない。だから袖はくるくるっとまくってる。いいですよね、シャネルのジャケットの袖をくるくるしちゃう自由さ!
これこそが「生きている文化」だと思うのです。
 
 
悲しいかな、洋服文化が定着したことによって、着物はファッションとして、文化としては止まってしまっています。あるいは停滞、退行しているかもしれません。
よく『着物警察』とか呼ばれる方々が、「アナタ、それにそれは合わせないのよ」とか「その着方はおかしいわよ」とか指摘してきて怖い・・・という話を聞きますが。本来ファッションなわけですから、ガチガチの正解ってないはずなんです。
そりゃー、(←いきなりくだけた)披露宴に紬で来ちゃったりするのはまずいですが、それは洋服でも同じですよね?披露宴にジーンズで来る人がいないのと同じで、着物だって同じはず。フォーマルな席は失礼のないようにするのが当たり前。これは常識であり、マナーです。そのうえで、普段の着物は好きにやっていいはずなんです。
5月くらいのバーベキューとかにいくと(いきなり設定が具体的)、半袖Tシャツ、ダウンベスト・・・みたいな人もいますよね。「あれ?5月にダウン?」と思ったとしても、「日陰に入ったら肌寒いときもあるもんね」「へえ、そういうコーデなんだ」って思いますよね。誰も「アナタ、ダウンは5月に着ないのよ・・・」って言いませんよね。
着物も同じように、もっと自由でいいはずです。
お母さんやおばあちゃんが着ていた着物を、「なんかレトロでかわいい!ちょっと貸して!」と着たら、丈が合わないのは当たり前。それを「裄が短いからおかしい」「おはしょりが足りなくておかしい」と指摘するのは、違うと思うのです。丈が合わないのは当たり前で、いちいちそれを直していたら、おしゃれなんて楽しめません。裄が短いなら、長手袋やブラウスを合わせたっていい。丈が短いなら、ブーツやくしゅくしゅ靴下を合わせたっていい。決まりごとを守るべきときと、自由でいいときは、それぞれあるはずなのです。

 
 
着物も本当なら。ずっと普段着の一部として続いていたならば。
気候の変化に合わせて袷と単衣の境目の時期も変わっていくでしょうし、もっともっとおもしろい着物が出ていたはずですし、おもしろい着こなしも増えたはずだと思います。帯結びなんてきっと、みんなオリジナルの結び方をしていたでしょうし、なんなら、帯の幅や長さも変わってきたでしょうし、着物の生地も木綿、ポリ、正絹だけじゃなく、もっと他の生地のものがたくさん出回っていたかもしれません。どの生地の、どんな着物を着るか。それももっと自由に自然に選べて、いろんな組み合わせができたかもしれません。

着物がファッションとして文化として生きているならば、着こなしももっと自由になってもっと気軽に着られて。「本場以外は偽物」みたいな間違った認識ではなく、「それぞれの産地が努力してつくりあげた反物」として個性として認識され、大切にされ。きっと着付けの流派とかもなくなってて、というより着付け教室とかもなくなってて、「無料着付け教室に行ったら販売会で数十万の訪問着買わされた事件」とかも起きない、平和な世界なんだろうな~と思います。


若いお嬢さんたちが、裄の短いアンティークを着るときに、下にブラウスを着たり。丈の短い着物には、靴下&パンプスを合わせたり、ブーツやスニーカーを合わせたり。帯締めの代わりにベルトを使ったりしますよね。
おそらく着物文化が現役で成長と変化をしつづけていれば、あれは全然「ンマァ!」と言われるコーデじゃなくなっているはずだと思うのです。私にとって、あれらのコーデは少しも驚くべきものではありませんし、悪いとも思いません。むしろ、「よくがんばってそこまでたどり着いたな!おもしろい!」と興味深く見ています。やるかやらないかは個人の自由。「へえ、そんな感じなんだ!へえ~!」と見ればいいだけで、眉をひそめる必要はないはずだと思います。
 

着物はファッション、文化です。
「これにこれを合わせていいですか?」と聞かれたときに、私がアドバイスと共に言い添えるのは、「これじゃないものを合わせても、逮捕はされないし、死人もでませんよ!」ということです。
披露宴に行くのなら話は別ですが、街着として着るのならば、もう少し心を自由に楽にしてみてもいいのではないでしょうか。
もちろん、素敵なコーデにブラッシュアップしていくのはいいことです。誰だって素敵に装いたいですから。
けれど、「これとこれ、素敵な組み合わせはどっちかな?」は良いと思いますが、「~はダメ」という気持ちからは、少し自由になってもいいのかなと思います。
何も悪いことはないんです。自分でこれをやってみたい!と思ったら、それをやってみるのもひとつの楽しみですし、そのチャレンジから見えてくるものもあるかもしれません。きじばとや特製うそつき襦袢も、きじばとや特製帯も、着物をはぎれにして使うのも、特別なことではありません。「こういうのがあったらいいな」「これって、こう使えないかな?」という気持ちから、自然にできたものです。本当はそんな風に、自然なかたちでいろいろなものが生まれてゆくはずなのです。


コーデに迷ったとき。TPOや「合う合わない」を考えるのはもちろん大切ですが、「これが好き」「これを合わせたらおもしろいんじゃないかな?」という気持ちも、大切にしてほしいと思います。そのチャレンジが、自分だけのコーディネートになりますし、ひいては着物が文化としてまた前に進みだす一歩になるんじゃないかなと思っています。

大丈夫です、逮捕されないし、死人も出ませんから(笑)
どーーーしても逮捕が怖いときは、きじばとやにご相談くださいませ!いつでもお手伝いさせていただきます^^