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2023/04/06 20:35

きじばとや店主イイダです。


入学式の着物についてブログを書いていたのですが、うっかり下書きのままにしておりました><
もう入学式は終わってしまった方も多いですよね・・・すみません!!
来年以降のご参考になさってください(笑)

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前回、息子の卒業式に着物で行ったことを書きましたところ、いくつかご質問をいただきました。
おそらく同じことを疑問に思ったり不安に思われたりされた方もいらっしゃると思いますので、ブログにも書いておきます。

「やはり羽織は必要でしょうか?」
そんなことないです!むしろ教科書的には「羽織はカジュアルなものなので礼装にはだめ」と書かれています。
確かに、結婚式などに、女性は羽織は着ないですね。
黒羽織は、昔・・・というか昭和初期くらいまででしょうか、着物を日常で着ていた頃、たとえば急にどなたかのお宅を訪問するだとか、ご挨拶に行かなくてはいけなくなったとか、そういうときにぱっと普段着の上に羽織って、着物の「格上げ」をしていたんですよね。
着物は小紋だけど、黒羽織を羽織ることで格上げする。そういうアイテムなんですよね。
なので、事前にご招待をいただいて、その日まで入念に準備してお祝いにかけつけるような場合、そういう礼装のときには不向きである、ということなのだと思います。(たぶん諸説あります)

私が卒業式で黒羽織を着たのは、ブログにも書いたように「黒ジャケット的に」着るコーデにしたからです。
卒業式はあくまでも子供が主役のお祝いごとなので、親はそこまで厳密に礼装じゃなくても、各自の事情などなどを鑑みて、皆さんに失礼のない、礼を失さない服装であればいいのでは・・・?という私の解釈でのコーデです。
もしかしたら、大手着物ナンタラ協会のお偉い方がいらっしゃったら、「なんなのあの人!」って思われたかもしれません。でも・・・、正直、着物のあれこれの決まりごとって、昭和のはじめにいつのまにかできたもので、実際はそんなに歴史も古くないし、「誰が決めたの??」ってことも多いです。なので私は、あくまでも場と周囲の人の気持ちは大切にしつつ、自分の中での折り合いも大切にして、「現代ならこういうやり方もありではないですか?」という提案をこめてのコーデなのです。
でも、紋の入った羽織もありますよね。ああいうのは礼装なので文句はないんじゃないかなー・・・と思いますが、あれはあれでちょっとオーラが強すぎというか、小学校の卒業式に紋入り羽織かあー、というのもちょっと臆してしまいますね(笑)

ということで私がたどり着いたのが、「黒ジャケット的に黒羽織を着る、和洋折衷コーデ」となったものであり、入学式などには羽織が必要という意味ではありません。


「卒業式は暗い色、入学式は明るい色が良いのでしょうか?」
そんな決まりはありませんので、好きな色をお召しになるのが良いと思います!
私もなんとなくそんな話を耳にしましたが、実際は卒業式にも、淡い色、明るい色みの付け下げや華やかな袋帯の方もいらっしゃいました。皆さん「素敵ね!」と声をかけられて、華やかで良かったですよ^^
女の子たちも袴姿が多かったですし、やはりハレの日に着物はとてもよく映えます。みんなとっても素敵だし、みんなどんどん着ればいいのに!と思いこそすれ、「その着物の色は・・・」なんてことは誰も思ってません。みなさん、好きな色を着ましょうー!


「卒業式、入学式には小紋ではだめですか?」
だめということはないと思います。決まりはないので。
ただ、やはりハレの日なので、小紋だとちょっとカジュアル感は強くなりますし、着物が持つ力が足りない感じはするかなという気はします。小紋は街着なので、どんなにお高い着物だったとしても、どんなに華やかな色柄であっても、やはり見た目の華やかさというかパワー不足はあるように感じます。そんなとき、黒羽織で格上げというのはすごく納得しますね。やはり黒羽織の持つパワーは納得です。

今回の息子の卒業式には小紋の方はいらっしゃいませんでしたが、街で見かける卒業式入学式帰りのママさんたちの中には、小紋の方もポツポツいらっしゃいます。着物をある程度着る人なら「あ、小紋なのね」と分かりますが、おそらく世のほとんどの人たちは「小紋ってなに??」という感じだと思います。普通に紬の小紋を着て歩いていても「あら、今日は何かお祝いごと?」とか聞かれる世の中ですから、実際は着物さえ着ていればもうそれで「特別」な認識になっているのだと思います。
卒業式、入学式は子供さんが主役なので、親はそこまで厳密でなくてもいいんじゃないかなとは私は思いますが、気になる方はやはり付け下げくらいが安心していられるのかもしれません。
でもときどき、街着にするにはちょっと華やかすぎるかな・・と思うようなきれいな小紋もありますよね。
ああいう小紋に、華やかで上品な帯を合わせたりすると良いかなと思います。厳密な考え方よりも、その着物や帯、小物などなどでうまく調整している方を見ると「ほほー!!やるな!!」と思います。
本来、おしゃれってそういうものですよね。
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以上がいただいた質問についての、私の考えです。

書いていて思ったのですが、「こういう場にこういう服装でもいいのでしょうか」と不安になるのは、礼装のグレード(?)のようなものに自分でも確固たる基準のようなものがないと不安になるのかなという気がします。なので、以下のようにご自分で一度整理してみられると良いかと思います。

イイダの場合、

・結婚式、披露宴など:礼装(訪問着、紋入りの付け下げ、紋入りの色無地、華やか袋帯)
・七五三:準礼装(紋なし付け下げ、紋入り色無地、ほどほど華やか袋帯など)
・卒業式、入学式:華やかすぎない控えめ準礼装か、もう少し力を抜いたもの(縫いの紋入り色無地、紋なし付け下げ、今回のように独自コーデなど)

という感じで、礼装のグレードを考えています。
結婚式や披露宴は相手と場に対する礼儀は絶対に大切にしたいので、ここはきちんとします。自分のやりたいことをやるのではなく、新郎新婦の親御さんや親戚の方たち皆さんが気持ちよく納得できるよう、オリジナルなことはせず、教科書的な礼装の考え方で装います。
こればかりは相手や場の気持ちを尊重しないと礼装としての意味がないので、主義主張は入れません。

七五三は家族のお祝いごとなので、もう少し力を抜いて、あくまでも子供を主役にして、親は目立ちすぎないようにと考えていますが、華やかママさんたちを見ると、華やかなのもいいなーと思って見ています^^
私は子供の七五三のときは紋入りの色無地にして、落ち着いた色みの袋帯にしました。ただし帯は宝づくしの縁起の良いものにして、小物を明るい色にしたりしました。帯が落ち着いた色みながらも華やかなものでしたので、地味すぎず、ほどよく・・という感じでした。


卒業式や入学式はカジュアルスーツでもありな雰囲気ですし、子供たちの装いも様々で、そういった多様性も楽しい場だと思っているので、今回はあくまでも礼を失さないことを重視しつつの独自コーデにしてみました。
通常でしたら草履は履けるので、おそらく靭帯の問題がなければ、今回の卒業式も、普通に付け下げと袋帯と草履のオーソドックスなコーデだったと思います。今回イレギュラーなことをしたのは、あくまでも「草履が履けない」からスタートしたコーデです。
でも、いい経験になりましたし、「こういうのもありではないか」と考えるきっかけになりました。

いつもいつも体調が良いわけではないし、雨の日だったり足元が悪い場所だったりすることもあります。
草履に白足袋で泥がはねても、今はお座敷などではないので、出先で足袋を履き替えるのも大変です。
そんなとき、滑りにくいブーツでいけたらいいですよね。
本来ならば、服装というのは時代や事情によって変化するはずのものです。
今回はそこを考える、良いきっかけになりました。

披露宴ほどの格式のある場でもなく、けれど七五三みたいに身内だけということもない。
入学式や卒業式って、結構位置づけが難しいかもしれませんね。

ちなみに上記はイイダの考え方であり、決まり事ではありません。
人によっては卒業式にドクロの半衿とかヒョウ柄の足袋を履いてもオーケー!!という方もいらっしゃれば、普段はドクロとかやるけど、入学式には付け下げどころか黒留で来ちゃう・・・という方もいらっしゃいます。
私はそういったことはやりませんが、「それはダメなんですよ・・」とも言いません。

正直、何をやっても逮捕もされませんし死人も出ませんので、割と気を楽にしてもいいかもです!

ご参考になりましたら幸いです!